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美しいダジャレの条件

  • 執筆者の写真: Kosaku Toyoshima
    Kosaku Toyoshima
  • 2019年6月14日
  • 読了時間: 4分

更新日:2019年11月7日

ダジャレ研究家の豊島です。


研究家を名乗るにあたり、


「美しいダジャレの条件とは何か?」


という問いに対し、ようやく分析スキーマがまとまりました。


美しいダジャレであるためには、


  1. 音韻統合(リエゾン)

  2. 意味的統合(セマンティシティ)

  3. 律動活性(グルーヴ)


が必要であり、より高次の統合であるほど美しいことになります。


一つずつ解説しますと、


①音韻統合(リエゾン)

たとえば、「布団が吹っ飛んだ」のように、「ふとん」という音韻と、「ふっとぶ」という音韻の相同性を用いたダジャレですね。音が似ているものなので、比較的見つけやすい部類になります。


最近、ヨガスタジオLavaの「なぜラバ?」とラバの写真載せた広告見ますが、Lavaってイタリア語で「溶岩」の意味なので、本当は溶岩をイメージしたホットヨガってのがコンセプトだとは思いますが、あれも単なる音韻統合のダジャレに帰着してしまった例ですね。(あの広告をプロデュースした方をディスる意図は全くありませんので、おそらく色んな紆余曲折を経てあの広告に落ち着いた、、ということだと察します)


②意味的統合(セマンティシティ)

意味が統合されますので、音韻統合よりは少し高度なダジャレになります。

戸梶圭太氏の著作に、ダジャレ好きな犯人をダジャレ好きな刑事が追う「スーパークールランニング」という短編があるのですが、その中に


(左遷をほのめかされた刑事が)「そうはさせん(左遷)ぞ」


とダジャレをつぶやくシーンがあるのですが、このダジャレはリエゾンも入っちゃってますけど、左遷されることに対し、いわば逆説的関係である「抗う意志」を込めた意味的統合の良い例です。


③律動活性(グルーヴ)

これはリエゾンとちょっと不可分なところも正直ありますが、言ってみれば「おもわず口に出したくなるグルーヴ感があるか」ということですね。

ダジャレはそのリズム感の良さで、そこで止まるか(場を凍りつかせるか)、頭の中で言霊としてリフレインを繰り返すか、が決まります。


一例として、このスキーマを用いてダジャレを解析しますと


まずはダジャレ・ステーションの上位ランクにあるダジャレ



こちらは、よくできた、の肯定に対し、欲まみれ、という逆説を充てており、リエゾンならびにセマンティシティは満足します。しかし、(欲を言えば)グルーヴという意味においては、前半と後半で同じ音韻になっており、ダジャレの要件は満たしているとは言え、もう少し「ひねり」が欲しい所もあります。


他、自作のダジャレで恐縮ですが


「今までにないコクと香りが楽しめる、そう、サイフォーンならね」


これはご存知アイフォーンのセールスコピーのパロディですが、元ネタに対する音韻統合、および、元ネタでグルーヴが担保されているという前提はありますが、意味的統合に欠ける、と評価されます。


また


「いずれあらゆる起業がコンサルの力を頼るようになり、税制度化された、それは『マッキン税』と呼ばれた」


自己評価ですが、グルーヴ感がいまいち、です。


では、自分が知りうる、今までで「最も美しいダジャレ」とは何なのか?


それは、敬愛するみうらじゅん氏の作である


不安を感じたら『ふぁ〜んたすてぃっく』


に他なりません。


これは、リエゾン・セマンティシティ・グルーヴの三要素を満たし、かつそれが高次に統合されているという素晴らしい事例です。



ダジャレというものは、boketeや、タモリ倶楽部の空耳アワーに代表されるように、本来的には言葉以外の、文脈的背景や時代背景も組んだ上で構成されるものではあります。


しかしながら、上記スキーマは汎用的に、ある意味では時代性を超えて適用されるフレームとも思いますので、


「自分のダジャレがなぜウケなかったのか」


という振り返りの一助として、上記スキーマで様々なダジャレを解析することで、皆様がより良いダジャレ・ライフを送ることが出来るよう願っております。


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