保存言語(または時間固定言語)の探求とサラリーマンのプレゼン能力
- Kosaku Toyoshima
- 2019年2月8日
- 読了時間: 5分
更新日:2019年11月8日
シナリオはクラシック、文体はフリースタイル、そして発話はインフィニットに
先日、人生初の能楽鑑賞の機会に恵まれまして、場所は宝生能楽堂、演目「望月」、シテは佐野登先生。寝るの覚悟で行ったら、全く、舞台上の空間に引き込まれまして、息するの忘れる感じで良かったです。(その前の舞囃子と狂言ももちろん良かったんですが)
何に驚いたかって、
能に限らず、古典芸能は数百年前に人々が聞いたであろう「音」をそのまま現代に持ってこようとしてるわけですが、当時の音っつってもまあ確認しようが無いですけど、「保存された言語」とみた場合に、舞台の役者が何を言っているか理解できるかどうかは、能を楽しめるかどうかとは関係ないってとこだったんですよね。
そもそも、自分は母国語の曲を聞いても歌詞の意味が全く頭に入ってこない(代わりにリズムの分解能は相対的に高い)軽度の聴覚情報処理障害なので、
音楽に合わせて語られているそれの意味を受け取れるかどうかは、自分にとっては現代のポップスだろうが、能だろうがあんま関係ないんですよね笑。(余談ですが、妻は自分の逆で、かなり正確に歌詞の意味を理解できる)
なんてことを考えていたら、以前、言語の時間性について書いたポストとふと結びつきまして、ちょっと分類してみて、サラリーマンのプレゼン能力に活かせる切り口がなんか見つかんないか?と笑
まず、言語を、それが内包する時間について
止まって(固定されて)いるか
リアルタイムか
(時間なんか関係ねぇ)超越しているか
という分類を行い、それぞれに「クラシック」「フリースタイル」「インフィニット」
というラベルを付けます。

「クラシック」は音楽でイメージするとわかりやすいと思いますが、「フリースタイル」は我々、普段かなり自由に喋ってますのでそういう意味合い。
「インフィニット」ってのは、言語学的に解釈するとかなりアレな感じが漂いますが、普遍言語とか完全言語、というニュアンスでは無くて、「理屈抜きに、音韻の美しさだけでなんかこう、腰のあたりにグッとくるやつ」のことです。
上記は単なる分類なんで、これが「サラリーマンのプレゼン能力」とどう繋がってくんのよ?って話ですけど、無理やりつなげます笑。
誰かに何か伝えるとき、多分その根底にあるシナリオというかストーリーはけっこう普遍的だったりすると思うんですよね、神話や古典にその原型がある、みたいな。
レヴィ・ストロース的にいうと、言語から意味を排したものが音楽、つまり律動であり、音に意味を持たせたのが神話、なんですが(レヴィ・ストロース解釈のナティエ論だったかも、、うろ覚え)いずれにせよ、その原型から話の骨格を作っていく、なんてのは古来より変わらない手法と思います。
そして、フリースタイルとは、文体をフリースタイルにする、ということですが、まあ、普段耳慣れない文体で語られたりすると、まずリテラシー上げんのに苦労して、なんてことになりますので(ワタクシも良く「資料は平易な言葉で書け」と怒られます)、まあ耳馴染みのある言葉で書けってことですよね。
※ちなみに公共性の高い文章は、クラシックと、フリースタイルの中間くらいに位置するもの、と思います。
最後、インフィニット、ってのは、発話のことを指し示していますが、やっぱりなんだか聞き取りづらい喋り方とかありますので。
余談ですが、北米でリバタリアニズムが一大ムーブメントになったとき、「メソポタミア!」と40回言っただけで回心させた伝説の宣教師が居たそうですが笑、これもその類かと。
感情というか、本能に訴えかける手法は、極端な話、演説中に通奏低音を流していたヒトラーの手法にも見られるものですが、シナリオも良く、文体も良いのになんか伝わんない、みたいな、そこはやはりインフィニットな発話が大事、ということで笑。
この「時間を超越して本能に訴える音」ってのはやはりあると思います。クラブ・カルチャーの創始者とも言えるデビッド・マンキューソも、幼少期にシスター・アリシア・ドノホーのパーティールームでの体験が元になっていますし、(まあ流れてたの市販のレコードなので空間と音が混ざってのものではありますけどね)あー、そろそろコミュニティ・ブームで「世田谷のシスター・アリシア・ドノホー」とか名乗る人出てこないかなぁ、
まとめますと、プレゼンやるときは、「シナリオはクラシック、文体はフリースタイル、そして発話はインフィニットに」ということなんですが、ワタクシも精進します。
余談、途中ドゥルーズの話を出したので、言語の意味性という軸を拡張して、こんな図でまとめてみました。

サラリーマンのプレゼン能力に該当するのは、この「神話」に位置するところのクラシック・フリースタイル・インフィニット という分類でしたが、
音楽におけるクラシック・フリースタイルは良いとして、インフィニット・サウンドってなんだそりゃ?アポカリプティックサウンドかよ。と話が超発散しそうなのでこれはまた別の機会に考察してみたいと思います。
遍く人に、NUMBOUTDUB EXPERIENCEを、
豊島 考作
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